(1)Q 会社が破産すると今後生活していくことができません。多少無理をしてでも会社を続けたほうがいいでしょうか?
A 会社経営者にとって、会社の破産=生活の糧がなくなるということを意味するため、無理してでも会社を続けようという考えがでてくることは理解できます。
しかし、経営改善の見込みがないままに、親族・知人からの借金をかさねたり、取引先への売掛金を滞納し続けても周囲に迷惑をかけるだけです。また、無理を重ねて心身ともに疲弊しきってから破産をしても生活再建が難しくなってしまいます。
援助をしてくれる親族・知人がいる場合は、むしろ、破産後の生活再建についての協力を求めるべきです。
破産するか否かの見極めについても、顧問税理士や弁護士にご相談ください。
(2)Q 破産した場合、財産はすべて処分されてしまうのでしょうか?
A 破産した場合の財産処分は会社と個人で異なります。
会社の破産の場合、会社は解散して法的には存在しなくなりますので、会社の財産は全て処分されます。
他方、個人の場合は、破産後も生活していく必要があるため、生活用品に加え、原則99万円までの財産を手元に残すことができます(自由財産拡張申立)。
(3)Q 手元資金が厳しくなってきたので長年かけてきた「小規模事業共済」を解約する予定ですが問題ありませんか?
A 絶対に解約しないでください。
小規模事業共済の解約金は「全額」差押禁止財産とされており、破産した場合でも、自由財産拡張申立による99万円とは別に、全額手元に残すことが可能です。例えば、10年以上小規模事業共済に加入していいれば、解約金が200万円~300万円にはなると思われますが、この場合、解約金全額に加えて、更に99万円までてもとに残すことが可能です。
他方で、小規模企業共済を解約してしまうと、その解約金は現金又は預貯金の扱いになるため、99万円までしか手元に残すことができません。
このように、小規模事業共済は破産後の生活再建に有益ですので、絶対に解約しないでください。逆に言えば、小規模企業共済を解約するほどに追い込まれた場合は、会社の破産を検討する必要があります。
(4)Q 破産しても仕事をしても大丈夫でしょうか?
A もちろん大丈夫です。会社破産の場合、代表者とその家族の生活再建が一番の問題になりますので、速やか仕事を見つけてください。
(5)Q 破産後に同じような事業をしても問題はありませんか?
A 理論上は問題ないのですが、実際の破産手続との関係では難しい問題を含んできます。必ず弁護士と相談しながら進めてください。
長年経営してきた会社を破産させた場合、代表者の方から、それまでの人脈・経験を生かして再度同じ事業に関与したいとの希望が示されることがあります。このような希望はもっともであり、年齢によっては全く未経験の業界で再就職が困難な場合もあることから、現実的な希望とも言えます。
他方で、破産した会社と同じ事業を始めた場合、破産した会社の資金・什器備品の流用や売掛金債権の付け替えを疑われる場合があり、会社の破産手続きに悪影響を及ぼすことがあります。
そこで、このような事態を避けるため、必ず破産申し立てを担当する弁護士に相談しながら対応することをお勧めします。
(6)Q 家族に迷惑を掛けたくないので破産はしたくありません。
A 会社が事実上破産状態にある場合、すでに家族に迷惑が掛かっています。また、このような状態を継続すれば家族に迷惑をかける時間が長くなります。家族に与える悪影響を少しでも短くするために現実的な対応を検討すべきあり、会社の破産も一つの対応として検討すべきです。