この事例は、貨物運送業の会社の破産手続をした案件です(以下「会社A」といいます)。会社Aは、数年来の赤字が累積しており、弁護士に相談した時点では、手持ちの現預金が20万円程度であり、資金ショートが確実という状況でした。もちろん、手持ちの現預金から弁護士費用は支払えませんし、従業員の給与も支払えない状況でした。 このような状況のもと、会社の資産内容を調査したところ、会社Aが締結している車輌リース契約は再リース契約であり、この契約を解約して車輌を買取り、転売すると数百万円の差益が見込めることがわかりました。 そこで、弁護士から会社Aの債権者宛に受任通知を発送して支払いを止めた後、リース車輌を転売してこの売却代金で①弁護士費用、②給与・解雇予告手当を全額支払いました。もちろん、残額は、破産申立後、破産管財人に引き継ぎ、債権者への配当に充てられました。 この事例は、リース車輌がある場合に弁護士費用や給与等を支払い原資になる可能性があるという点で参考になると思われます。