過疎地のガソリンスタンド廃業に思う

南越谷法律事務所の弁護士小池智康です。

越谷市、春日部市、八潮市、三郷市、草加市、さいたま市、川口市、足立区などに方を対象に情報提供するこのコラムですが、今回のテーマは過疎地のガソリンスタンドの廃業についてです。

先日、テレビである山間部の過疎地にあるガソリンスタンドが1月31日で廃業する過程を取材した番組が放送されていました。

番組では、この山間部の集落には、ガソリンスタンドが一つしかなく、このガソリンスタンドが廃業すると車のガソリンはもちろん、暖をとるための灯油も遠方のガソリンスタンドまで

買いに行かないといけない状況であり、ガソリンスタンドがこの集落の重要なインフラを構成しているとのことでした。

 

では、このガソリンスタンドが廃業する原因はなにか、ということですが、地下に埋設されたタンクの取り替え工事の費用(約1000万円)が捻出できないということが主な原因のようでした。

確かに、過疎地の個人経営のガソリンスタンドが1000万円を負担するのは、行政の補助があるにせよ、かなり負担であり、廃業という選択肢もやむを得ない面があるのかな、と思わせるのがありました。

ただ、それと同時にタンクの取り替え工事費用の問題をクリアーすればガソリンスタンドの経営を継続できるというのであれば、廃業を回避することもできたのではないかとも

思いました。

 

番組によれば、このガソリンスタンドは、200戸程の集落で唯一のガソリンスタンドで重要なインフラであるとのことですから、当然、住民の方々としてもこのガソリンスタンドがなくなるのは困る訳です。遠方のガソリンスタンドに通うためには、往復の時間もかかります。

そうであるとすると、この地域の方々としても一定の負担をしてもガソリンスタンドが存続してもらった方がメリットがあり、ガソリンスタンドの存続という面では地域住民とガソリンスタンド経営者の方の利害は共通していると思われます。

この前提があるのであれば、地域住民の方に少人数私募債や新株を発行してガソリンタンクの改修費用を捻出するという方法が採れたのではないかと思います。

例えば、一株5万円で200世帯に新株を発行すれば改修費用を確保することもできた訳です。5万円という金額は決して安くはありませんが、自分たちの生活インフラを自ら確保すると考えれば出せない金額でもないと思います。

このような方法も検討した結果、実現可能性がないということで廃業されたのであれば、致し方ありません。しかし、事業継続を実現できる方法があるにもかかわらず、情報が不足していたために廃業に至ったのであればとても残念です。

ガソリンスタンドの廃業のニュースを見て、法律という道具がもっと役に立てることがあるのではないか、と思った次第です。