南越谷法律事務所の弁護士小池智康です。
このコラムは越谷市、春日部市、草加市、八潮市、三郷市、川口市(川口、東川口、西川口)、さいたま市(浦和、南浦和、武蔵浦和)、足立区(西新井、北千住)の皆様に情報提供することを目的としています。
今回のコラムは会社とその代表者が破産する場合の代表者の税金滞納対策についてです。
会社の倒産に関して相談を受け、最終的に会社の破産申立てをする場合の多くは、代表者が会社の借入金について連帯保証をしているため、会社と一緒に破産申立てをすることになります。
破産手続が開始されると、破産管財人が選任されて会社・代表者の清算作業が行われます。
破産管財人の清算作業で配当を受けられなかった債権は、会社の場合は法人が存在しなくなるため回収不能になり、個人の場合は、免責を受ければ原則、支払義務がなくなります。
個人の場合、『原則』として支払義務がなくなる、というのは、破産法は、非免責債権という例外を規定しているからです。
非免責債権のうち、最も問題になるのは、租税等の債権です。
これは、要するに、『破産しても税金は支払ってもらいますよ』ということです。
会社が破産に至る過程では、当然資金繰りが厳しい状況になりますので、代表者が個人資産を会社につぎ込んだり、役員報酬が未払いになるという事態が発生することが多々あります。
そして、代表者の生活費が不足し始めると、所得税、住民税、健康保険税等を滞納するという事態につながり、これが2~3年続けばかなりの滞納額になります。
この結果、破産・免責を受けた場合でも滞納税金等の支払義務が残ってしまい、代表者個人の生活再建を圧迫するということになってしまいます。
そもそも、代表者が会社に資産をつぎ込んだ結果、租税滞納に至った時点で会社の経営状態はかなり悪化しています。
このような兆候が表れた場合は、速やかに経営再建・企業再生に取り組むと同時に、役員報酬を減額して租税額を抑えるなどの対策をして、租税の滞納を極力抑えることも検討してください。
そのうえで、滞納租税の増加に歯止めがかからない・解消する見込みが立たない場合は、代表者の生活再建を困難にする前に会社の廃業・清算を検討する必要があると思います。
会社の存続が大切であることは言うまでもありませんが、代表者の生活再建も同様に大切です。
会社を存続と代表者の生活再建の見極めについてもお気軽にご相談いただきたいな、と思う次第で