南越谷法律事務所の弁護士小池智康です。
越谷市、春日部市、草加市、川口市、さいたま市、足立区(北千住・西新
井)を中心とする地域に密着した情報を提供することを目的としたこのコ
ラムですが、今回は、越谷地域の倒産案件の状況~その②~です。
越谷地域の倒産案件の状況~その①~では、この地域の倒産案件の大
半は、主要な事業が収益力をなくしており、経営再建・企業再生に結びつ
けることが困難であるという趣旨を記載しました。
この状況は現実として存在しているのでこれに応じて最善の方法を選択
する必要があるわけですが、ご相談いただく案件には少数ですが、事業
を継続して経営を再建する見込みがある事案が存在します。
例えば、主要な事業の取引先の選別、取引条件の見直し等を行い、ま
た、不要な資産の処分、人員の削減などを行って、事業の規模は縮小
したものの、なんとか営業利益を確保するまでにこぎ着けたケース、従前
の主要事業は完全に廃止し、新たな収益源となる事業を始めたケースな
どがあります。
これらのケースは、現時点を基準にすれば一定の収益力がありますの
で、経営者の方々は、この収益力を基礎としてなんとか借入
金の返済を続けようとします。
しかし、過去の借入金を返済する負担が重すぎて資金が不足した結果、
当事務所にご相談にお越しになります。
これらのケースにおいても、相談者の方は、資金繰りがつかない=倒産・
破産しかない、との発想の場合が大半です。
しかし、我々弁護士からみると、勿体ないなと感じます。
なぜならば、過去の借金はどうあれ、現時点では、潤沢ではないかもしれ
ませんが事業は収益を確保しているということは、そこで働く従業員・経
営者の生活を支え、取引先の売上げに貢献する等会社としての機能を
果たしているからです。
この点を見逃して単純に会社を破産させた場合、従業員や経営者は仕
事を失い、取引先にも売上げ減少・売掛金の焦げ付きなどの迷惑をかけ
てしまいます。
そもそも、これらのケースで問題なのは、現在の事業の収益が過去の借
入金の返済に回っていることです。
借入金を返済するのは当然のことですが、返済を重視する余り収益性の
ある事業をつぶして破産に至るのでは社会的な損失が大きすぎます。
事業と借入金の関係を整理して事業の存続を図る方法としては、裁判外
では、第二会社方式(事業譲渡・会社分割)、裁判上の手続では、民事調
停・民事再生・会社更生などがあります。
経営再建・事業の継続というテーマで弁護士に相談するという発想がな
かった、と相談者の方から言われることが多いのですが、実は、経営再
建・事業の継続に着手すると借入金の取扱いを中心として、多種多様な
法律問題が出てきます。
そして、これらの問題は弁護士の業務そのものです。
このように経営再建・事業の継続という局面において、弁護士は必要な
存在です。
経営再建・事業の存続を検討されている経営者の皆様からもっと気軽に
ご相談いただきたいなと思う次第です。