破産申立前に事業を譲渡して従業員の雇用を確保した上で、譲渡代金を破産申立て費用に充てた事例
事案
業種:食品関係事業
負債:約5000万円
従業員4名
手持ち資金10数万円
問題点
- 手持ち資金がないため給与支払い・弁護士費用の捻出が困難
- 代表者が高齢であり再就職が困難なため破産後の生活再建の見通しが建たず、破産に踏み切れない。
弁護士の対応
- 代表者の人脈を利用して、破産申し立て前に同業他社に会社の事業を譲渡して事業・従業員の雇用を確保しました。
- 譲渡先の会社に代表者が入社し、引継ぎ作業を行うと共に代表者の職を確保しました。
- 事業譲渡代金から、弁護士費用・予納金を確保し、残額は破産管財人に引き継ぎました。
担当弁護士のコメント
本件はほぼ会社に資金がない状況で、かつ売掛金や換価が容易な資産もないというかなり厳しい状況でのご相談でした。弁護士の目線では、何故こんな状態になるまで弁護士に相談しなかったのかと考えてしまいますが、依頼者は、日々の業務と資金繰りに追われて疲弊した状態が続いたため、弁護士に相談するという未知の行動を起こす気力がなかったようです。
会社の状態は、破産以外の選択肢はないという状況でしたが、その費用が捻出できないという問題をクリアーする必要がありました。この会社の事業は固定資産を必要としない業態だったため、預貯金・売掛金がない状況では換価するものがないという状況でしたが、依頼者の「他社に従業員の雇用を引き継いでもらえないか?」との相談をきっかけに、事業譲渡の方向性を検討し、交渉の結果、事業譲渡が成立しました。
事業譲渡では、従業員全員の雇用継続に加えて、事業を円滑に引き継ぐために依頼者にも入社して欲しいとの打診があり、結果的に依頼者の職も確保できる結果となりました。この点は、依頼者の職の確保という点ではよいのですが、破産管財人からは、破産会社と事業譲受会社間で不当な財産移転等がないか等の調査を受ける可能性がありますので、全ての事案で採用できる方法ではありません。
本件は従業員の雇用・代表者の職・弁護士費用の確保という問題を事業譲渡という方法で解決した点が参考になると思われますのでご紹介します。